安康演唱會レポート

 

 ◎Shou_chongの笊日記 Part2

1.指揮者安仔

 安仔のコーナーの中で、指揮者の真似事をする場面がありました。いかにも晴れがましい態度で指揮台に上がり、譜面台をタクトでたたいたり、偉そうに英語で指示を出したりと、精一杯大物指揮者を気取る安仔。でも気取りながらも、どこか照れくさそうでもあります。その様子がなんだか微笑ましくて、ファンは安仔の可愛さに心くすぐられてしまうのでした。

2.アンコール=安仔失敗の巻

 アンコールは二人の持ち歌ではなく、レスリーの「追」、次いで學友の「愛是永恒」でした。安仔はこの歌神さまの名曲の最中に、ファンにはおなじみのうっかりミスを披露してくれました。自分の最初のパートを歌い終わり、康仔にバトンタッチ、のつもりだったのですが、実はまだ少し歌うべき歌詞が残っていたのです。康仔の視線と指示、そしてたぶん会場中のお客さんの視線を感じ、あわてて続きを歌う安仔。でも、途切れた部分はとりかえしようがありません。この日は最終日で、りっぱなカメラも入り一部始終が撮られていました。前日もカメラは入っていましたが、盛り上がり具合からいって、DVDなどには主に最終日の映像が使われるのではないかと思われます。でも、この部分だけは使えませんね、きっと。コンサート最終日、それも最後の最後の一番盛り上がる場面でこの失敗。もったいないことです。「でも、安仔だもの、仕方ないよね」とみんなが思ってくれそうなところが、安仔の人徳?なのでしょうね。

  3.ダンス競演?

 最初のほうで「没有季節的花火」を二人で歌うシーンがあり、安仔は華麗なステップを披露してくれました。普段、自分の演唱會では激しいダンスもこなしているので、これくらいはお茶のこ、といった様子。康仔も腰を左右に大きく振る独特の動きを見せてがんばります。(「腰が命」とは美寶さんの弁)が、手足の動きがいまいちで、なんか変です。安仔が一緒だとそれが一層際立ってしまいます。それでも、日を追うごとに康仔なりに滑らかな動きになり、進歩が見られたのは、さすがプロだなあと少しだけ感心しました。(初めから、ちゃんとしたダンスだったらもっと感心するのですが。)

   4.忘記歌詞=イーソンに非ず

そして安仔にも非ず、です。安仔なら改めて取り上げるまでもないことです。康仔もやってくれたのです。初日に。しかもあの名曲、「男人不該讓女人流涙」で。「本人よりも、お客さんの方が歌詞を覚えている曲」(by美寶さん)、「香港人でも完璧に歌える北京語曲」(by HO太さん)なのに。

 ♪[女尓]説我讓[イ尓]看不清楚♪と康仔が歌い始め、恋人たちに甘いムードが漂いかけたその時、ふいに音声が途切れました。「あれ? 機械の調子が悪いのかしら?」と思っていたら、やや間をおいて♪在愛中迷途♪と聞こえてきて、ほっと一安心。この時点では、私はてっきり音声さんが一時的に死んだのだと思っていました。∵初日はステージからかなり遠い席だったので、二人の口の動きまでは確認できなかったのです。が、後に他の席でご覧になったみなさんの話を聞いて、康仔が♪[女尓]説[女尓]害怕♪という歌詞を忘れたのだとわかりました。それとなくごまかそうとした風情も垣間見えたそうですが、空白部分はどうしたって取り繕いようがないですよね。二人だけの世界に浸ろうとしかけていた恋人同士のみなさんは、きっと「おっとっと!」とずっこけたことでしょう。でも「康仔でもこんなミスがあるのね」と思えば、親近感が増してファン度がUPするでしょう。(思わなかったら「ダメじゃん、康仔!」でお終い。)

5.握手タイム

 今回はデュエット曲の何曲かが握手タイムになっていました。ステージ中央にいた二人が左右に分かれ、両端にセットされた階段を上がり、ステージ後方の花道を通りながら、握手ぜめ、プレゼントぜめ、手荒な無理やりハグぜめにあいつつ、途中ですれ違い、それぞれ上った時とは反対側の階段を下り、またステージ中央に戻ってくる、という動きを毎回繰り返していました。つまり、左右対称に動きながら、階段や花道も含めたステージを一周するわけですね。ということは、二人の歩く速度は同じであるのが望ましいはず。しかし、四日間毎日見ておりましたが、左右に分かれた二人が水平に一直線上にいたことはほとんどなかったような気がします。

安仔には何の落ち度もありませんでした。終始落ち着いた態度で一定の速度で歩き、その速度も曲のテンポと合っていて、ちょうどよいところでステージ中央に戻っていました。まさに計算されつくされたかのような洗練された動き。(ただし、ご一緒したTさんは「あれは絶対に頭で計算しているのではなく、体感でわかっているだけでしょう」とおっしゃっていました。深く頷く私です。)一方、康仔は、気がせくのか歩くペースがやや速め。しかも、階段を途中から二段ずつ上がったりしています。しかし、そのままのペースで歩き続けると最後に安仔とステージ中央で出会えなくなるので、どこかしらで帳尻を合わしながら折り合いをつけていたようです。どうも安仔のように落ち着いて一定の速度で歩くことができないみたいですね。運動神経の差がこんなところにあらわれているのでしょうか?

そいうえば、花道で熱狂的歓迎を受けているときなどにもその違いが見えました。安仔は情熱的なファンのあしらいにも慣れているようなのですが、康仔は抱きつかれるとされるがままになってしまい、なかなか解放されないのです。さらに、花道で安仔とすれ違った後にファンから安仔用のプレゼントを託されたため、引き返して安仔に渡す「いい人」ぶり。この動作がすばやく行われればなんの問題もないのですが、そこは康仔のことですから案の定手間取りまして、そんなことには一切頓着していなかった安仔が、最後にステージ中央で一人ぼっちになりかけるという一幕も。ここは二人で見つめあって歌うという演出があったので、安仔もあせってきょろきょろと康仔を探していました。(康仔も康仔ですが、「もっと早く康仔の遅れに気づけよ、安仔」ですよね。)

そんなこんなで、二人の運動神経と性格の違いがくっきりあらわれていた握手タイムを、両者のファンである私は興味深く拝見いたしました。

6.ハムレット?康仔

 先に康仔の曲はおなじみのものが多かったと書きましたが、その中で少し趣を変えていたのがピアノ伴奏で歌うジャズ風味メドレーでした。シンガポールのコンサートでも歌われたそうですが、康仔はこのコーナーが一番生き生きと楽しそうに見えました。

康仔「こういうのが歌いたかったんだよねー、へへ」
日本人迷「こういうのが聴きたかったのよねー、フフ」

と両者の思いが合致したまことに麗しい至福の時でした。(超個人的見解)しかし、香港の大半のお客さんが喜ぶのはなんと言っても、「男人不該譲女人流涙」や「越吻越傷心」なんですね。この大ヒット曲に対する歓迎ぶりは、すさまじいといってもよいほどです。地の底から湧きあがるような歓声とでもいいましょうか。もしも曲紹介で「次はおなじみの『男人不該譲女人流涙』……ではなくて、趣向を変えて新曲をおとどけします」なんてオフザケでもしようものなら、暴動が起こるのではないかというくらいのものです。

たとえ康仔自身が新曲やジャズっぽい曲ももう少し取り入れたいと思っていたとしても、香港のお客さんのニーズを考えると勝手なこともできないでしょうし、むずかしいところですね。本当のところご本人はどうお考えなのか、聞いてみたい気がします。

7.少年康仔

 凧を手に少年に戻る康仔今回MCのシモネタ以外で一番受けていたのが、「安康TWINSを歌う」のコーナー(勝手に命名)でした。三日目と四日目(最終日)にはその曲に因みファンから凧のプレゼントをされた安仔と康仔。(MVにはご本家が凧揚げをするシーンがあるそうです。)凧を手にした康仔は二日間とも嬉しそうにステージを駆け回っていました。(体調をくずしていた安仔はさすがに最終日はきつかったのか、「そこまでつきあいきれんよ」という風情でした。)なんだか赤塚マンガの登場人物を思わせる滑稽さがありましたね。大きな字で「ワーイ!」というフキダシをつけたいくらい。まさに無邪気な少年そのもの。普段のイメージから言うと、安仔のほうがとりそうな行動だっただけにちょっと意外な印象を受けました。

 康仔はよほど気分がハイになっていたのでしょうか。

諸々の辛い出来事を乗り越え、コンサートを開くことができた。→嬉しい!
しかも安仔と一緒だ。→嬉しい!
四日間ともお客さんが一杯だ。→嬉しい!
海外からのファンも来ているようだ。→嬉しい!

と、嬉しいの四乗くらいになっていたのかも。出待ちで康仔を至近距離で見た方からも「康仔は上機嫌であった」と伺っておりますので、やはり最高の気分だったのでしょうね。嬉しいと少年にかえる康仔。ちょっと意外でしたが微笑ましくもありました。


     パート3−shou_chong的メインイベント編−へつづく